講演会『子どもたちをとりまく性の現状と、まわりの大人の関わり方のポイント』参加レポート

こんにちは、池サポ・地域安全サポーターです。

先日逗子小学校にて、令和3年度 逗子市学校警察連絡協議会及び逗子市児童・生徒連絡協議会主催の講演会「子どもたちをとりまく性の現状と、まわりの大人の関わり方のポイント」が開催されました。本日は講演会の参加レポートをお伝えします!

講演会:「子どもたちをとりまく性の現状と、まわりの大人の関わり方のポイント」

講師:アクロストン 
妻・夫。二人とも医師。小学生の親。公立小学校で保健の授業を数コマ担当し、性教育の授業も担っている。子ども達に正しい性の知識を、家庭内で性の話ができるようになるきっかけを、自分たち自身が親として我が子たちに伝えたい内容を楽しく・ポップで・まじめなコンテンツにして届けている。

詳しくお知りになりたい方はリンク先をご覧ください。
https://acrosstone.jimdofree.com/profile-1/

(1)アクロストンさんのこれまでの活動の紹介

・2020年に逗子小学校6年生男子に、性教育の授業をワークショップ形式で実施。(この時6年生女子は下着メーカーさんをゲストにお呼びした身体の仕組みについての授業を実施)

(2)正しい性知識を児童・生徒に教えることの大事さ

『包括的性教育』とは
・4年生の教科書に、「身体の仕組み」は載っているが、勤務先医院で小学生高学年の親子の外来の際、親子ともに「身体の仕組み」「発達によって身体にどのようなことが起こるのか」など、実際起こっていることについて理解につながっていないケースがあった。

・「身体の仕組み」「発達の仕組み」について、より丁寧に教えていくことの大切さを実感。

・中学生、高校生、大学生に「性の知識はどこから得ているか」のアンケート結果では、約8割近くの情報入手先が「友人・先輩」や「マンガ・コミックス」「インターネット」など、誤った知識が含まれている可能性のある情報入手先が多くを占めている。

・性知識についての正答率も、2005年、2011年、2017年の比較により、年々下がっている結果となっている。

・ユネスコのガイドライン『包括的性教育』の実施について
8項目
「人間関係」
「価値観、人権、文化、セクシュアリティ」
「ジェンダーの理解」
「暴力と安全確保」
「健康とウエルビーイング」
「人間のからだと発達」
「セクシュアリティと性的行動」
「性と生殖に関する健康」

(3)学校や日常生活できる包括的性教育

・ユネスコのガイドラインに沿うような、教科書の内容が充実していくことは理想だが、現在の学校教育において、授業数の問題や、学習指導要領などさまざまな点で学校現場では負担感が大きい。学校や教育機関におまかせではなく、家庭でも身近なところから実践していくことが必要。またゲストティーチャーを活用して外部講師による性教育授業の実施も取り入れたい。

・以下の1〜6のうち、全てではなく1つでもできるところから取り組んでいく。

① 性の話題を身近に
・逗子小学校の実践例。トイレにポスターを掲示して、身近なことと感じられるように。

・「つっこみ性教育」
ドラマやニュースを見ながら、ぼそっとコメントするのでも◎

② ルッキズム、ジェンダー
・容姿については、「ほめる」「けなす」どちらもしない。

③ SOGIへの配慮
LGBTQは浸透しているが、境界線が引かれている考え方とも言われる。

SOGI セクシャルオリエンテーション みんなそれぞれあるものでグラデーション。

SO – セクシャルオリエンテーション
(好きになる性)

GI – ジェンダーアイデンティティー
(ココロの性)

・学校で困ることの例
*児童用(男子)(女子)トイレ に入りたくない
→職員室トイレの利用

*入浴 みんなと一緒に入りたくない
→1人で入る、入らなくても良いなどの個別対応

*着替え、水着 上半身出すことに抵抗
→ラッシュガード着用、個別に着替えスペース

ポイント
どのケースにおいても理由をきかない。
アウティング(他の人に伝えること)はしない。
教員間においては、事実・対応については共有するが、理由は共有しない。

④ 子どもと子ども、大人の境界線
・子どもと子ども、子どもと大人と、身体への接触はすることもされることもだめであること、相手から同意を得ているかの確認。

⑤ 子どもの間での性のトラブル
・性トラブルは本人や家族内で抱え込まずに相談をする。

・スカートめくり、ズボンおろしなど、「ふざけている・遊び」では許されないこと。性暴力の一つであることの認識と理解。

⑥ 性虐待への対応
・「何があったのか、それをしたのは誰か」のみを聞く。

・子どもが自分から話してくることについては聞いて良いが、こちらから質問はせず、専門機関に通告する。

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(4)終わり

 最後は、「子どもに性教育を教えてあげる」のでもなく、「教えなきゃ」でもなく、親もとなりで一緒に学んでいきましょう、との言葉で最後は締め括りとなりました。

社会のあり方とも密接に関わっている包括的性教育については、大人も日々アップデートが必要といえそうです。

アクロストンさんは著作をいくつも出されておられます。本の内容は、一般的には著作権によって使用が制限されますが、教育の場、学校現場においてコピー利用などは可能とのことです。「一部をコピーして授業での使用や、トイレに貼って身近な話題として取り上げてもらうなど、ぜひ活用してください」とおっしゃってくださいました。

ぜひ池子小学校の図書室にも置いていただけると嬉しいですね💓

アクロストンさんの
参考図書・サイト 子ども向け

動画

性教育YouTuberシオリーヌ👆

amaze(短編アニメ動画)👆

セイシル👆

MeX 10代のための相談窓口まとめサイト👆

参考図書 大人向け

【Q & A】(※質問と回答の概要になります。発言内容原文ではありません。)

Q.通学路での子どもたちの話し声に「おちんちん」「うんち」などの言葉が聞かれるが、子どもたちに気づかせてあげられるような声がけはあるか?

A.身体の仕組み、名称など事実であることを伝えることで、「面白いことではない、身体の仕組みである」という事実に気づくことで口にすることは減っていくと思われる。
「言わせても良い場」で好きなだけ言わせると気が済んで「面白いことではない」と自らわかるようになるのでは。

Q.対象年齢に合致しているドラマを子どもと見ている時に性描写が描かれていることがあった。どのような対応をすればよかったのか。

A.一緒に見ていることが素晴らしいことと思える。もしドラマの内容に、暴力的な場面が含まれている場合は見ないようにすること、誤った情報や場面があれば指摘することは大事。

Q.保護者や学校の先生と共有するにあたって、オープンな形でどのように伝えられるか。

A.子どもに伝える際に感じる大人の心配や不安については、伝える側が真剣な態度で正しい知識を伝えることで、「面白い」という感覚ではなく、事実を粛々と受け入れることができると考えている。

【講演会に参加しての感想】

・貴重なお話を聴かせていただきました。どのお話も密度が濃い、興味深い内容で90分間があっという間でした。「性教育」は、普段の生活でも防犯や安全の視点から関わってきますが、子どもたちのキャリア教育にも必要不可欠な知識だと思うので、身近な家庭での実践も大切にしながら、今回のように教員やPTA保護者向けの講演会から、児童・生徒の生の体験として、ゲストティーチャーを招いての特別講座へと広がっていくとありがたいなと感じました。伺った貴重なお話は多くの保護者と共有したいと思いました。ありがとうございました。

 以上が参加レポートとなります。長い文章となりましたが、お読みいただきありがとうございました。

2022.2.3
地域安全サポーター 谷崎

※今回の画像はすべて本記事作成にあたり、学校、保護者間での情報共有を目的として、アクロストン様より使用許可を得て掲載しています。